養子縁組と相続

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

そもそも、養子縁組とは、直接の親子関係にない他人同士が、養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出すことをいいます。養子縁組には、大きく分けて、普通養子縁組と特別養子縁組という2つの制度が用意されているので、まずはその違いを確認しておきましょう。

1 普通養子縁組

普通養子縁組とは、実親との親子関係を維持したまま、養親との間にも法律上の親子関係を結ぶことです。養子縁組といえば、一般的にはこの普通養子縁組を指すことが多いです。

普通養子縁組が利用されるケース
  • 孫を相続人にして財産を取得させるケース
  • 再婚相手の連れ子を養子にするケース
  • 同居している長男の妻にも財産を引き継がせたいケース
  • 子どものいない夫婦が養子縁組をして子どもを迎え入れたいケース

2 特別養子縁組

特別養子縁組とは、子の福祉の増進を図るため、養子となる子と実親との間の法的な親子関係を解消し、養子と養親との間のみに親子関係を成立させる制度です。そのため、普通養子縁組と比べて、特別養子縁組が認められる条件は厳しく設定されており、養親子は原則として離縁することができなくなります。このようにして、唯一で強固な親子関係を築くのが特別養子縁組と特徴として挙げられます。

特別養子縁組が利用されるケース
  • 実父母が子の教育をすることが著しく困難であるケース
  • 児童相談所または養子縁組をあっせんする事業を行う者からの依頼があったケース

3 普通養子縁組と特別養子縁組の違いを比較すると

普通養子縁組特別養子縁組
養親20歳以上であること夫婦共同で養親となること
養親となる夫婦の少なくともどちらかが25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
養子尊属または養親より年下であること特別養子縁組の成立審判の申立時に15歳未満であること
実親との親子関係存続
扶養義務も存続
終了
扶養義務の消滅
相続権の発生養親と実親の両方の法定相続人となれる養親に対してのみ法定相続人となれる
成立要件養親本人と養子本人の合意
養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人が養子本人に代わって養子縁組の合意をする必要があります(民法797条1項)。
家庭裁判所の審判が必要
戸籍の表記実親の名前も記載される。続柄は、長男・長女ではなく、「養子」・「養女」と記載される。実親の名前は記載されない。
続柄は、「長男」・「長女」などと記載される。

養子縁組による相続への影響

1 養子縁組と法定相続人

普通養子縁組によって、養子は法定血族となるため、養親が死亡したときには実子と同じく、第1順位の法定相続人となります。もちろん、法定相続分についても、実子と同じ割合で取得できるのであり、人数に応じて均等に分割されます。そのため、養子縁組が成立すれば、実子と同じ権利を持つことが認められるのです。

2 再婚相手の子への養子縁組

再婚相手に子(いわゆる連れ子)がいた場合、被相続人と連れ子の間には血縁関係がないので、連れ子には相続権がありません。再婚相手の連れ子であっても、実子と同様の生活を営んでいるケースが多いですが、それでも再婚と同時に自動的に法的親子関係が生じるものではないという点には、注意が必要です。再婚相手の連れ子に関しては、養子縁組をしてはじめて実子と同等の相続権を得ることとなります。

3 代襲相続人への相続

養子縁組した場合には実子と同じ権利を持つのですから、養子がすでに亡くなられている場合には、実子と同様に養子の子(孫)が代襲相続をすることができます。しかし、注意が必要なのは、養子縁組をしたことにより血縁関係が生じる時期です。養子縁組した養親と養子の血縁関係は、養子縁組をした時から始まりますので、養子の子(孫)が養子縁組する前に生まれていた場合には、代襲相続をすることができません。養子縁組の後に生まれた養子の子(孫)でなければ、養子を通じて養親との血縁関係が生じないからです。代襲相続ができるかどうかについても、確認すべきポイントといえるでしょう。

養子縁組を結ぶメリット

1 孫へ財産を残したい際に考える税金対策

お世話になった孫にも財産を渡しておきたいとの理由から、生前贈与という手段がよく用いられるようになっています。なぜなら、相続人ではない孫に対する贈与は、相続開始前3年以内であれば加算の対象にならないからです。しかし、1年間の贈与額が110万円を超えると贈与税が徴収されるようになります(贈与の基礎控除額は110万円)。そのため、数年にわたる継続的な贈与が必要になることや、資産価値の高い財産を渡したい場合には向いていないというデメリットがあります。
そこで、相続税対策という意味で孫を養子縁組とする手段も考えられます。

2 養子縁組と相続税対策

孫を養子縁組することで、相続の基礎控除額が増加したり、超過累進税率を緩和させたりすることができるというメリットがあるのです。他にも、生命保険金や死亡退職金の非課税枠が増えたり、配偶者や実子以外の者へも相続させたりすることができるというメリットがあるのです。
もっとも、養子縁組をたくさんして養子を増やした分だけ節税に繋がるというわけではありません。なぜなら、相続税法上、実子がいない場合には2人まで、実子がいる場合には1人までしか養子を法定相続人に含めることができないとしているからです。
詳しい相続税の計算については、こちら[相続税の基礎知識]のコラムも合わせてお読みください。

3 当事者間に縁組する意思があると言えるのか

相続税対策を目的に養子縁組をする場合、当事者に縁組意思がないとして養子縁組が無効になるのではないかという問題点が存在します。もっとも、近年の判例では、節税養子であっても直ちに縁組意思がないとされるわけではないので、養子縁組が無効とはなりません。
(最判平成29年1月31日)
相続税の節税のために養子縁組をすることは、このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』に当たるとすることはできない。」

最後に

本コラムでは,養子縁組について解説をいたしました。養子縁組に際しては,身分関係に変更が生じる関係で専門的な知識を要する場面が多々ございます。少しでもご不安がございましたらお気軽にご相談ください。

無料相談受付中!

平日営業時間内の相談初回45分無料

047-498-5880

お問い合わせ:月〜金 AM9:00〜PM6:00

メールでの相談申込み(24時間受付)

空きがあれば夜間相談・当日相談・土日祝日相談対応可

夜間・土日祝日の相談を希望の場合は有料(夜間:30分3300円/土日祝:30分5500円)

お電話・メールでの相談はしておりませんのでご了承ください。

ページの先頭へ